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メダロット×艦これSS 第二話「海底からの使者」

pixiv小説の方がページで区切って読めるようにしてあるので読みやすいです。
お話の後に劇中に登場した用語やメダロットを独自解釈で解説・補足しています。
(長めなのでブログではカット)
pixivアカウントをお持ちの方は下記リンクからどうぞ。
メダロット×艦これSS第二話「海底からの使者」はこちらにあります
メダロット×艦これSS第一話「海よ今日から戦いだ」はこちらからどうぞ


メダロット×艦これSS
第二話「海底からの使者」

――『メダロット』、それは宇宙からの贈り物であり、
そして人類のあくなき探究心によって地球に降り立ったロボットである。
『ティンペット』と呼ばれる2種類の基本フレームに
太古の地層から発掘され、心と魂を持つ宇宙の神秘『メダル』を搭載。
さらに多種多様な『パーツ』を身に付けることで、一人の存在として確立されるのだ――

時は1945年7月末。
第二次世界大戦が終わり日本が敗戦国となるのもあとすこしだった頃。
ここはある一室。色あせた壁。ひび割れたすりガラス。
「君たちをここに呼んだのにはある理由がある」
椅子に座った一人の男が言った。この場に集っているのは5人の提督。
「現に日本は厳しい現状だ。」開口一番言い切った。
「政府はポツダム宣言を黙殺するつもりだが、わが国の敗戦は不可避だ」
それはみな分かっている。
「連合国に目をつけられる前に、破壊してもらいたいものがあるのだ」

……『マザー試作30号機 -イロハ丸-』
地質学者ニモウサクタメゾウによって1938年に発見された「六角貨幣石」を燃料とする戦艦。
1945年に7月に強行的に進水された日本海軍の決戦兵器である。
アングラ重工の出資を受けて日本軍が秘密裏に開発。
1945年4月、二毛作島のマザー試作29号機をある事件で消失したことにより、
出資していたアングラ重工社長と日本軍が憤怒。
未完成ながらも最後の切り札として実戦導入されたが、その際の記録が何一つ残っていない。

「エンジン稼働と同時に爆発、回収不能と思われたイロハ丸だが、
…実は『生きている』らしいのだ」
ざわつく提督たち。軍艦が生きているなんてそんな馬鹿な、ということである。
「国内国外問わず各地で海に浮かぶ黒い船の目撃報告を受けている」
男は言葉を続ける。
「所属不明と言われているその艦は一切の砲撃を受け付けず、
砲弾でもない圧倒的な力で艦隊を消し去ってまた沈んでいくというのだ」
「イロハ丸が海の怪物として各地で暴れているという事か?」
一人の提督がいった。
「コラッ、言葉を謹め」
「日本本土に影響が出ては困るってことだろうか?」
「各地で戦火をあげているのであれば、兵器としての役目は全うしているのでは?」
言葉使いを指摘した提督をよそに次々と奇問を投げかける他の提督たち。

「『…本来なら六角貨幣石はこのような使い方をするものではなかった』、と
地質学者であり六角貨幣石の発見者、二毛作タメゾウはそう言っていた」
「軍部が秘密裏に研究していた決戦兵器『マザー』に用いられていた六角貨幣石。
その石に秘めた価値は単なる兵器以上にこの国の為になるという事を彼は知っていた」
「それを兵器として使われていたということが敗戦後に連合国の耳に入れば、
氏が所有する六角貨幣石に関する研究特許をも剥奪されてしまうだろう」
「六角貨幣石に関する研究特許の剥奪…それは日本にとって大きな損失であり、
日本が戦後復興する希望を失い、諸外国を増長させかねないのだ」
「そこで諸君にはこのイロハ丸を早急に捜索発見次第完全に破壊してほしい」
「だけど弾幕が効かないのだろう?」
「建設途中だったが、実戦導入に使われていない名もない艦がある。
それをぶつけてイロハ丸自体を分断させ物理的に沈めてほしいのだ」
「・・・つまり」

――――――【CAUTION:視野覚にエラー:CAUTION】――――――
――――――システム サイキドウ ヲ オコナイマス――――――

「……んぅ、ううっーん」
眼を開けた。見知った天井。そして美味しそうな匂い。
ここはテイトのすみかである海の家。
布団で寝ていた。既に人の声もするのでもう昼だろうか。
身体のところどころが重い、と言うかいつもと違う感じだった。

「あっ、司令官起きたんですね!」
寝室の向こうから女の子の声が聞こえる。
やってきたのはセーラー服の女の子だった。
「反応が戻ったみたいでよかったぁー」
テイトは疑問に思った、なぜセーラー服を来た女の子が俺のすみかにいるんだ?と。
そして俺はどうしてこんな恰好をしているんだ?

茶碗のごはん。御椀の味噌汁。焼き魚。
人に作ってもらった料理をこんな感じで食べる機会は
レストラン以外ならなかったかもしれない。
焼き加減も炊き加減も違う。でも新鮮だった。
「司令官、覚えてないんですか?」
「いや覚えてはいるんだけど、事情がね、まだ呑み込めてないから」
ご飯を書き込みながらテイトは答えた。
「えーっと、ほら名前何だっけ」
「フブキですよぉ」
「そうそう、フブキ。トレミーは覚えているんだがな」
「こうですか?」
といいながらフブキと言う少女は何処からともなくメダロットを転送した。
「えっと私もフブキなんですけどね」
「話し手を二人に増やして状況理解を早めようとしたが、余計混乱しそうだ」

「改めて、まず私の紹介をさせて下さい!」
セーラー服の女の子は言った。
「特型駆逐艦の吹雪型1番艦、『フブキ』です。」
「どう見ても女の子にしか見えないが」
「私も特型駆逐艦の吹雪型1番艦、『フブキ』です。」
彼女に続いてトレミーも自らの出自を述べた。
「どう見てもメダロットにしか見えないが」
「「姿は違えと同一存在みたいです」」
二人の声がシンクロした。
「いやだからなんで駆逐艦が女の子やメダロットになるのよ」
「そ、それは私にも分かりません!」
「目覚めたらこうなっていたんですよぉ」

「えーと、時系列を整理しながら話した方がいいだろう。
まず俺は『テイト』見ての通りメダロットだ。
気づいたら此処、ビーチ・デル・ソルと言う海岸にいた。
そしてここは俺の家。なんやかんやでこの海岸の海上保安官をやっている。」
テイトは手短に必要最低限の自己紹介を済ませた。
「事件は突然起きた。『深棲ロボロボ艦隊』とかいう黒ずくめの連中がメダロットをけしかけて、
海にいたメダロット、人間を無差別に攻撃し始めた。
俺は必死に戦ったが、自身の力不足故に遊泳者を人質に取られてしまった。」
事のあらましを言いきったところで割って出た。
「だから呼んだんですよね、「海を守る力が欲しい」って」
「厳密に言えば来たのは仲間か」
「私たちは海から来ました。
なんだかよくわからないけど、この国で困っている人がいるなら戦わなきゃって。」
この国で困っている人がいるなら戦わなきゃ…うーん、駆逐艦らしいというか。

「単刀直入に聞こう。海を守る力を手に入れた俺や、
海を守る力である君たちはこれから何をすればいいんだ?」
テイトは味噌汁を飲みほして重要なことをフブキに尋ねた。
「深棲ロボロボ艦隊と名乗る深海棲艦を打ち倒す事です」
まぁやはりそれかと思いながらもテイトは質問を重ねた。
「深海棲艦、奴らは一体何者なんだ?」
フブキ達はちょっと顔を曇らせたが、
「私たちにもよくわからないです。
ただ、彼女たちは私たちとある意味ではよく似ていて、
なんかこう、禍々しいものを抱えているような…」
しどろもどろしながら人の方のフブキは答えた。
「ただ彼女たちを野放しにしては、貴方のようにこの海と共に暮らす人々の障害になるのです」
テントウムシの方のフブキが続けた。
「要は『得体のしれない海の侵略者』ってとこだな。」
「そういうことですね」
概ね納得したテイトだが、心の中で意地悪な考えが浮かんだ。

「……まぁ君たちも『得体のしれない海の侵略者』という可能性もある訳だ。」
そう言った途端、テントウムシの方のフブキが顔を真っ赤にして、声を荒らげた。
「私は彼女たちとは違います!大日本帝国海軍の一等駆逐艦として、この国の海を守るために―」
激昂したトレミーは元から赤い顔がますます赤くなっていく。
このままだとちゃぶ台返しでもされそうな見幕だったので、人の方のフブキが彼女を抑えた。
「まぁまぁ、司令官の言わんとすることも理解できます」
「…お前ら同一人物ってことだったよな…?」
「なんていうか気持ちの表現が不自由な感じですね」
「どうしてあんな奴らと一し○×△…フーッ!フーッ!」
「私は大日本帝国海軍の一等駆逐艦として、この国の海を守るため、
そして司令官、あなたの力になるために全力を尽くす所存です」
人の方のフブキは言葉を続ける。
「そのために私は此処にいるのですから」
表向きのフブキの声と本心のフブキの声、どちらがどっちの担当だか分からないが、
こりゃ出自が不明であれ彼女たちを信用するしかないな、とテイトは判断した。

「フブキ、非礼な発言したことを深く謝罪する。」
箸をおいて頭を深々と下げた。
「お互いに『海を守る力』としてアイツらと戦っていこうじゃないか」
テントウムシの方のフブキの顔がゆるんだ。
ムキになっていたのかうっすら涙ぐんでいる。
「もしかして、わざとそう言ったのですか?」
「だってそら、昔の駆逐艦がメダロットや女の子になったっつわれても実感わかんし」
テイトは目をそらしながら言った。
「そりゃ2145年の今に大日本帝国海軍~とか、お国のために~とか言われたらもう…な?」
「…そりゃそうですね…2145年かぁ」
「私が海に沈んでから二世紀ちょっと……」
俺が彼女たちの過去を知るよりも、彼女たちに「今」の日本を教えなきゃならんな、と思ったテイトだった。

「特型駆逐艦吹雪型1番艦、フブキ!」
「はい」
「で、俺達は手始めに何をすればいいんだ?」
深棲ロボロボ艦隊に立ち向かうと言えど方針を決めないとどうにもならない。
「そうですね、まずは私のような艦を集めて戦力を拡張すべきですね」
「そして遠征で敵の発生源を探り、叩くことで、この海岸を守ることでしょうか」
戦力の拡張…分かりやすく言えば人手…『艦娘』を集める事。
「具体的な艦娘や敵の居場所って分かるのか?」
「……分からないから、メダラシンの反応を元に索敵しに行くんです」

と言うわけで、海岸に立つ3人。
「と言うことでなんというかまぁパトロールだ、しばらくここを開ける」
遊泳禁止の期間でもない限りあまりこの海岸を離れることはないテイト。
今後の対策のためとはいえ、先ほどのような事件があった中
ビーチ・デル・ソルから離れるのはちょっと気がかりだった。
「テイト!そして嬢ちゃんたち!なーに心配しないでくれよ」
「また変なデカブツ来たら俺たちゃが追っ払ってやるぜ」
「お前らにしか出来ないこと……期待しとるんじゃ!」
初めての出向式は手の空いていた地元の漁師たちが笑って見送ってくれた。
「そんじゃ、抜錨しますか」
「といっても見た目は歩くだけなんですけどね」
テイトはビーチ・デル・ソルの海面を一歩一歩踏みしめる。
水面が揺れ、小さな水しぶきがたった。テイトはメダロットであり、提督であり、船なのだ。

海を歩くことは不思議な感覚である。
基本的に潜水型脚部や浮遊型脚部でもない限り、
メダロットが水面から浮上するのは不可能だ。
とはいえ、実はオートクルーズのボディの時点でも
両腕の弾倉部分とは別に腕部と腰部の中に水中活動用に
空気圧を送り込むことで急速に展開できるうきわが組み込まれている。
ただ、一度展開すると再収納するのが大変なので、
基本的には脚部パーツを周りの人から借りて作業を行っていた。
「うーん、これはこれで便利だけどなぁ」
ひたすらに青い海を3人で歩きながらテイトは言った。
「沈む時はどうするんだ?」
「ちょっと気を足の方に集中すれば…」
と言いながらその場から垂直にずぶずぶと海へ沈んでいくフブキ。
そんな様子を後ろ向いて見ていた時だ…!

ドバァン!ドバァン!ドバァン!
ふくらはぎ程度まで沈もうとしていたフブキの周りに水柱が立つ。
「敵襲です!」
「ふえぇ!」
トレミーが振り返る。
突然の敵襲に驚いたのかフブキは一気に腰のあたりまで体を水面に沈めてしまった。
「潜水艦デモナイノニ 自ラ ソノ体ヲ 沈ズメルトハ イイ度胸シテルロボ!」
「ソンナニ 沈ミタイノナラ、マタ 海底デ 眠ッテモラウ ロボヨ!」
迫る深棲ロボロボ艦。とりあえず3体を確認した。
「フブキ!トレミー!ロボトルだ」
「三体程度ならさくーっと何とかなるでしょ」
トレミーの方は余裕綽々で臨戦態勢の一方、
「ちょっと今の砲撃で体勢を立て直すのに……」
フブキは水中で足を蹴って必死に海面に立とうとしていた。
まるで底なし沼の泥から足だけで這い上がろうとしている感じだ。

「ホラ アソコニ イイ的ガ アルロボ!」
「クローテングー!トルネード攻撃ロボ!」
「フェザーショットガン デ ツイゲキロボ!」
「カカカカカーッツ!」
深棲ロボロボ艦たちが繰り出した二体のクローテングー。
一方は両腕を真横に広げ、体の中央に素早く移動させる。
グオオオッツ!
両手に携えた緑の芭蕉扇から竜巻が巻き起こり、フブキに向かっていく。
スパパパパパパッ
もう一機のクローテングーがその竜巻に向けて、
頭襟に仕込まれた砲門から羽根状のショットガンを炸裂させた。
黒い羽根がトルネードに飲み込まれていき、黒い竜巻に変貌した。
「きゃあああっ!」
なすすべもなくトルネードに飲み込まれるフブキ。
トルネードで打ち上げられ無防備な状態で黒い羽根が彼女の体を引き裂く。
「ゴーフバレット! ココデ アノ オ間抜ケ駆逐艦ヲ 海面ニ 叩キツケル ロボ!」
2羽のクローテングーのバックに控えていたゴーフバレットが浮上し、
上空にほおり投げられたフブキに向かってアンチエアミサイル弾幕を張った。
「「そうはさせるか!」」
トレミーはガトリング、テイトは両肩と両腕の砲門をフルに使い、
一斉掃射されたアンチエアミサイル16発を全て撃ち落とした。

「トレミー!フブキの方は…って」
トレミーにフブキの回収を命じようとしたテイトだが、
トレミーの体に起こっている変化に気付いた。
攻撃を喰らっていないはずのトレミーの右腕と脚部が破損しているのだ。
「大丈夫か?!」
「機能停止したわけでは無いけど、ただ『私』と「私」の装甲は」
「……どうやらシンクロしているようです…」
上空から海面に叩きつけられながら立ち上がったフブキがよろけながら言った。
脚部片側の魚雷兵装が破損し、顔、腕、脹脛の肌は傷だらけで、
セーラーとスカートも所々羽根に斬られてボロボロになっている。

「くっ!」
即座に危機的状況に陥ったことを理解したテイトは、
右肩を正面に向け肩の砲門から射撃攻撃を行う。
バシュッ!
その砲弾は一撃でゴーフバレットの胸を撃ち貫いた。
今度は左肩の砲台を正面に向けつつ、右腕でも射撃攻撃を行う。
バシュッ!ズガガガガガガッ!
こちらもクローテングー2羽にヒットする。
「(対潜水武装だけでなく、対飛行武装も追加されていたのは幸いだったな)」
オートクルーズからテイトクルーズに換装したことによって、
アンチシー弾だけでなく、アンチエア弾も自在に使いこなすことが
出来るようになっていたテイト。
だが、今唯一の味方が現在進行形で轟沈の危機にあることには変わらない。

「フブキ!トレミー!俺におぶされッ!」
「へっ?」
「戦略的撤退だよ!早く!」
テイトの背中に抱きかかるようにおぶさったフブキ、
そのフブキの上にちょこんと収まるトレミー。
「全力で戦線離脱する!」
メダロットにおいて脚部パーツを破壊されること、それは即機能停止に繋がる。
艦娘にもダメージがシンクロしている以上、
これ以上の航行は危険だとテイトは判断したのだ。
「でっ、でも司令官!逃げるって言ったって何処に……!」
「メダラシンの反応はこっちでいいんだよな?」
全力で2人を背負いながら走り続けるテイトが聞いた。
「はい、あと少しで反応するポイントに…ってきゃぁ!」
「敵艦増員!後ろから被弾してます!」
振り返るトレミー。彼女の複眼でとらえた映像がテイトの頭の中に流れ込んでいく。
数機のクローテングーとタンクソルジャーが確認できた。
移動しながら命中の悪い散弾銃をまき散らしながら深棲ロボロボ艦たちが接近してくる。

「こんな時にまたトルネードを撃たれたら……!」
「安心しろフブキ、トルネードは性質上動きながら撃てない」
「でもちょくちょく被弾して痛いんですけど!」
「元々、沈み方の実演して隙だらけだった貴方が悪いんでしょうが」
「沈み方を聞いてきたのは司令官の方じゃないですかぁ!」
「…俺は一言も沈めとは言ってないぞ」
全力疾走しながら言い争いを始めるフブキとテイト。
そこにトレミーが割って入る。
「メダラシンの反応ポイント、この辺りです!」
「つまり他の仲間…『艦娘』がこの辺にいるって事だよな?!」
しかし当たり見渡しても海と空しかない。
フブキのようなセーラー服の女の子も立っていないし、
トレミーのような、深棲ロボロボ艦以外のメダロットも見当たらない。

「……フブキ、これは一体どういう事なん?」
「さぁ……私にもちょっとどうなっているのかわかりませんねぇ」
やらかしたぁ、的な顔をするフブキ。ちょっと笑っている場合じゃないですよ。
仲間がいるって当てにして、ここまで逃げてきたんですよ。
「さぁ追いついたロボ!貴様もまとめて沈んでもらうロボ!」
しつこく追跡してきた深棲ロボロボ艦たちも増えながら追いついてしまった。
テイトは仕方なくフブキとトレミーをおろし、自分の後ろに置いた。

「……その言葉、お前らにそっくり返すぜ!」
「アノ 生意気ナ 青イノ カラ ブッ潰ス ロボ!」
テイトの捨て身の挑発にまんまと引っかかった深棲ロボロボ艦達は攻撃の矛先をテイトに集中させた。
負傷したフブキとトレミーを庇いながら、テイトは各個撃破を狙う。
ズガガガガガガッ!ドカン!
マシンガンと散弾銃がぶっ放され、横殴りの雨のような弾丸の流れの中、
脚部武装からの三連装魚雷をテイトは使用する。
バシュゥ!バシュゥ!バシュゥ!ドボボボン!
海中を潜って突き進む魚雷は海面に浮かぶタンクソルジャーの足元でさく裂し、
数人の深棲ロボロボ艦と共に海に沈めていった。
「私も援護しま……」
被弾し続けダメージが蓄積していくテイトを見かねたトレミーが動こうとしたが、
テイトは射撃を止めてそれを静止した。

その隙を狙って、クローテングーが再び芭蕉扇を扇いだ!
巻き起こるトルネードがテイト達に向かってくる。
そのトルネードを一身に受けるテイト。
「(クソッ、体がバラバラになりそうだ…!)」
疲弊している装甲ををひねるかのように、襲い掛かる風の刃。
「ドーシタロボ、浮キ上ガラナイ ロボ?」
「もっと嵐を巻き起こすロボよ!」
二度三度巻き起こるトルネード。しかしテイトの体は一向に浮き上がらない。
「(こんなところで負けていたら…フブキを守ることもできネェ!)」
上に向かう力に必死に耐えるテイト。スーパーアーマーなんてものはない。
「うおおおおおおおおっ!」
竜巻に負けぬようゆっくりと右腕を突きだすテイト。
突きだした右腕を左手で支え狙いを維持し、ライフルを撃ちだした。
ドカン!
その銃弾はカラス天狗のくちばしをへし折った。
「アノ トルネードノ中デ ライフルヲ 撃ッテキタ ロボカ?!」
また一機機能停止させられ動揺する深棲ロボロボ艦隊。
嵐が止んだが倒れることなく、必死に抵抗していた体を奮い立たせ、テイトは言う。
「俺は…海を守る力である前に、提督として艦を守る義務があるんだよォ!」
「…テイト!」
自分の失敗をカバーし、一生懸命戦うテイトの為にフブキは祈った。


「(この地に眠る艦よ。お願い、私たちに力を貸してっ!)」


――海を守る力である前に、提督として艦を守る…ホレボレするクマね~――
――空母機動部隊の主力として貴方たちに力を貸しましょう!――


初めて聞く声と共にテイトの前に海面から浮上する2人の女性。
一人はフブキとは異なるセーラー服を着ている茶色のロングとアホ毛の女の子、
もう一人は弓と矢を携え、赤い袴の弓道着を来た黒い長髪の撫子だった。
「球磨型軽巡洋艦の1番艦、『クマ』だクマー。よろしくだクマ!」
「赤城型1番艦航空母艦、『アカギ』です。提督、この戦い私にお任せくださいませ。」
クマと名乗る艦娘は何処からともなく漂ってきた『ベティベア』に抱きかかり浮いている。
アカギと名乗った艦娘は袴の色と頭文字が同じ『アークビートル』と共に現れた。
「クマちゃん!アカギさん!」
「フブキちゃん、何なんですか。あのような隙を相手に見せて…貴方らしくない」
「えっと、それはそのーっ、お恥ずかしい……」
「アカギは人の事言えないと思うんだクマ」
「うーん、そうかなぁ」
早速フブキにダメ差しをするアカギ。そこからアカギにダメ出しをするクマ。
「とりあえず俺が提督のテイト、説明してる暇はないが、
フブキと同じ艦娘であれば、ぜひとも俺達に力を貸してくれないか」
「言うまでもありません、提督のご指示を!」
「やーってやるクマ!」
心強い艦娘が一気に2人増えたことで逆転のチャンス。

「軽巡ハ 兎モ角、正規空母ガ イルナンテ 聞イテナイ ロボ!」
「イヤ、アノ機体 意外ニ 撃タレ弱イ ロボヨ?」
「数撃テ 数撃テ 質量ニ 物ヲ 言ワセル ロボ!」
こちらが2人増えたらこっちは20人じゃ、と言わんばかりに更に増員する深棲ロボロボ艦隊。
お前らは増えるわかめか。
「アカギ!エクスプロード!クマはマッシャーだ!」
テイトが海底から目覚めたばかりの2人に指示を出す。
「これでも喰らいなさい!」
ドドドドドドドドドドドドドッ!
アークビートルの左腕の三門の銃の真ん中からメガガトリングが炸裂する。
やられる前にやれを地で行く速攻高火力射撃だ。
先ほどまで喰らっていた散弾銃とは比較にならない散弾っぷりだが、
着弾するたびに小規模な爆風が炸裂し、深棲ロボロボ艦ごと巻き込んでいく。

「ブレイク攻撃クマーッ!」
バシュゥン!ゴィイン!
ベティベアの小さな腕から黒い鉄球のような弾が打ち放たれた。
海面に着弾すると黒い重力場がクローテングー達を包み込んだ。
「これで飛行型メダロットの動きが封じられました!」
負傷しているフブキとトレミーは前線で戦っている二人のわきから
マシンガンを放ち、身動きできなくなった敵の装甲を削っていく。
「舐めるなクマァーッ!!」
人間の方のクマは単身先陣に突っ込んでいき、深棲ロボロボ艦に肉弾戦を仕掛けていた。
「オラァーッ!クマァアーッ!」
ゲシィッ!バキョォ!
「ロボォーッ?!」
クマの回し蹴りが深棲ロボロボ艦の顔にクリーンヒットし、
そのままベティベアによる黒い重力場に叩きこまれた。
「(仮にもお前は軽巡洋艦なんだよな…?)」
テイトは疑問に思いながらも、弾幕を張り敵弾の処理をしつつ次の指示を出す。

「フブキ、アカギにスナイプによるデータリンクと射撃座標補正を頼む!」
「任せてください!」
「アカギ、そのまま頭部パーツフルチャージだ!」
テイトからの指示を聞くや否や、矢を取り出し大弓に携えるアカギ。
「クマは引き続き、こいつらの足止めクマー」
「クマはうまくあいつらをおびき寄せるクマ!」
ベティベアが放った重力場に、格闘でメダロットもロボロボ艦も押し込んでいくクマ。
「…適正角度算出できました!」
「ありがとうフブキちゃん」
トレミーの報告を受け取ったアークビートルは礼を言う。

頭部と胸部に真っ直ぐ前方に伸びた電極は帯電を始めている。
「クマ!この場から離脱しろ!」
「離脱クマーっ。とおっ!」
飛び蹴りで最後の深棲ロボロボ艦を重力場に押し込んだクマは、
蹴りの反動でバク中をしながらこちら側に飛び戻ってきた。
「「これで決めます!」」
アカギとアークビートルが声を合わせる。

「「受けよ!日の丸の洗礼!プロミネンス!!」」
akagi_and_arcbeetle600.png


アカギの強弓から鋭い矢が放たれる。
その矢がアークビートルのハイパービームに包まれると、
航跡雲のような光の軌跡と共に飛ぶ、燃え盛る巨大な戦闘機に変貌した。
「ロ、ロボォ~ッ!」
「あ゛、あ゛つ゛い゛ロ゛ボ゛ォ゛ォォーン゛」
赤い光に包まれた灼熱の戦闘機は熱風を巻き上げながら飛んでいき、
重力場で身動きが取れない深棲ロボロボ艦隊とメダロット達を次々と溶かしていった。
海面に戦闘機が飛んでいた跡なのか、炎がくすぶっていた。

「何とか退けることが出来たようだな」
「視認したかぎり、敵艦隊沈黙です」
ひとまず落ち着くことが出来ることを確認したテイト達。
「…で、この二人がメダラシンで反応があった仲間達のことか」
「クマちゃんとアカギさん、お二人とも助けてくださりありがとうございました!」
一礼するフブキとトレミー。
フブキからしたら、クマは同輩格で、アカギは先輩と言った感じだろうか。
「テイトは指示も戦闘も同時にこなせる提督だクマ、
フブキちゃんは良くこんな逸材を見つけてきたクマ?」
キラキラした目でテイトを見るクマとベティクマ…ベティベア。
「いや、キミは好き勝手にやってたじゃないですか」
「そんなことより、久しぶりの戦いでお腹が空きました」
「フブキちゃんの損傷も大分酷いですし、早く鎮守府に戻りましょう?」
急かすようにテイトに詰め寄るアークビートルとアカギ。
「アカギは見た目と違って大食漢だクマ」
「ちょっとそれどういう意味ですか、クマさん」
どうやら、ただ単に戦力が増えただけでなく、
維持コストも増えるようで、この先やっていけるのだろうかと思うテイトだった。
「さぁ、全艦帰投しよう。フブキ・アカギ・クマ、みんなお疲れ様」


――負傷したフブキとテイトのピンチに駆けつけた、アカギとクマ、2人の艦娘。
更なる戦力を手にしたテイトの艦隊は次なる戦いへと備えることとなる!!――
(第二話終わり)

表紙はアカギとアークビートルなんですが、
結局後から一応クマとベティベアも描いておきました。
クマが使うクマは藤岡建機版(デザインはnavi参考)なんだクマー。
片耳に付けていたタグは勝手に勲章にアレンジしているんだクマ。
kuma_and_bettybear600.png

あと見れば分かるかもしれませんが、
アカギの肩にある甲板の裏と持っている強弓はクウケンタウロスっぽくアレンジしてます。

2014/11/05
しらすうます
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